PROTEUS 1/2を購入しました!


元々古参のDTMerなのでハード音源はいろいろ持っているのですが、国産とくにRolandとCASIOの製品が中心のため、ヤフオクでかなり安くなっていたこいつを購入しました!
E-MU PROTEUS !!
201401_proteus.jpg
今回はそのレビューです。

製品概要

今回購入したのは PROTEUS 1/XR と PROTEUS 2です。PROTEUS 1/XR はユーザエリアの多い PROTEUS 1 のバリエーションモデルで、音色は主にPOP系つまりGMにあるような音色がわりとまんべんなく入っているものです。PROTEUS 2 はオーケストラ音源に特価しているモデルで、こちらはXRタイプではないものを購入しました。これ以外にも PROTEUS 3 という民族楽器に特価したモデルもあるのですが、いらないと思って購入していません。ちなみに最近はいずれも5000円前後で取引されているようです。1が89年、2が90年の製品です。当時の定価はなんと20万円以上!! こいつらが5000円で購入できるとは、良い時代になったものです。

ファーストインプレッション

90年代初期当時は、どこのスタジオにでも置いてあるデファクトスタンダードな音源だったということもあり、音色を聞いてみても「ああ、あれね」という感じはします。
音の傾向について少し詳しく。
前述のように、僕の所有してきた音源は手放したものも含めRolandの製品が多いです。Roland音源の特徴は、綺麗できらびやかで細く、悪く言えば埋もれる音、良く言えば馴染む音、というものだと思います。RolandはMIDI規格作成でも中心的な役割を果たし、実質的にはGM規格を決めたメーカーでもあります。ということもあり、MIDI音源だけでアンサンブルを奏でた時に上手くまとまる音を追求していたため、このような特徴になっていたのではないかと思います。
この対極にあるのが国産ではKORG製品で、こちらはゴリっとして太く、ダークで、良く言えば前に出る音、悪く言えばぶつかる音です。
で、E-MU PROTEUS の第一印象ですが、これはもうKORGを通り越してRolandと対極にある、とてもゴリっとした音がします。とても荒い、初期のサンプラーの音ですね。入っている音色は思ったよりもリアルで、同時代のRoland Uシリーズよりは艶はないけど実用的という印象です。またUシリーズは音色(波形)が少なく、拡張カードで増やす思想だったのですが、PROTEUS 1 にはそこそこ十分な、おそらくGMの6~7割をカバーするくらいの音色が入っているか作れるのではないかと思います。PROTEUS 2 も音色の傾向は同じですが、こちらは思ったほどの音色数はなく「まあオーケストラ専用音源っていってもこんなもんか」という感じです。音質はともかく音色バリエーションとしてはJVのOrchestralエキパンくらいものもを期待していたのですが、そこまでもないようです。
それから、同時期の Roland Uシリーズ との比較でいうと、思ったよりも音色の編集ができます。PROTEUSはUシリーズと同じく実質的にはシンセというよりはプリセットサンプラーだという認識だったのですが(実際シンセというほどシンセサイズはできませんが)、自作音色をストックするユーザエリアを拡張する需要があるくらいにはいろいろできるようです。

音色管理について

PROTEUSのマニュアルはこちらからダウンロードしました。
http://www.buczynski.com/Proteus/pro_spec.html
こちらにあるPDFに音色表やMIDIチャートなどすべて記載されています。
パッチについては、無印は192音色、XRは384音色ですが、ROMのプリセットはどちらも128音色。つまりXRで拡張されているのはユーザエリアのみです。ちなみにユーザエリアのうちの64音色には工場出荷時におまけ音色が入っていますが編集すると戻せません。僕が購入した中古品はいろいろ音色がいじられていたのでファクトリーリセットをかけたらこの64音色は消えてしまいました(笑) バックアップを取っておけばよかったと後悔しましたが、後述の理由でどのみち128音色しか使わない運用になりそうなので結果オーライです。
マニュアルやいろんなサイトなどをいろいろ調べてみたのですが、どうやらPROTEUSにはバンクセレクトという概念がないらしいです(バンクセレクトはMIDIの中でも後発の機能だったので時代的には仕方ないと思いますが)。このためたとえ384音色が内蔵されていてもMIDI経由で音色を切り替えられるのは128音色、ということになります。この128音色はデフォルトでは384音色中の最初の128音色です。ところが、ファクトリープリセットが入っているのは0~63と128~191のエリア。つまりデフォルトではファクトリーすべてにプログラムチェンジでアクセスできません。
そこで僕の場合は、マッピング機能を使い、128~192の音色のプログラムチェンジNoを64~127に割り当てることにしました。これですべてのファクトリー音色にチェンジできるようになりました。が、その結果ユーザエリアは締め出す結果となりました。まあMIDI経由でチェンジできなければ実質128音色音源として使うしかないだろうと思いますので、これでいいかな、と。
この設定が行われているPROTEUS用のDominoの音色定義ファイルを作成しました。
ダウンロード:PROTEUS1/2 Domino用音色定義ファイル
※転載/リンクしていただく場合、ダウンロードURLが変更になる可能性がありますのでこのブログのURLにリンクしていただけるとありがたいです。
基本的に音色セレクトのみをきちんとやろうという思想で作っています。Dominoの定義ファイルを自作するのは初めてなので不完全だったり不要な記述があったりおかしているところもあるかと思います。ご指摘いただければ修正します。もちろん修正したものをいただけるとなおありがたいです。
ちなみに、今後もしPROTEUSを使い込むようなら、使わない音色ははずしてユーザエリアで作った音色と差し替えるというのもやるかもしれません。PROTEUS 2のファクトリー音色にはストリングスのスローアタックなものがないようなので、それだけは作りたいと思っています。

その後使ってみての印象

今のところ(本チャンで使うかどうかはわかりませんが)デモ作成用にDominoからマルチティンバーで鳴らしています。その印象としては、ベタ打ちでもGM音源ほど打ち込みっぽくならないと思いました。音が荒いためか、わりといい感じにリアリティが出てくれます。
単音で聞いていると「荒削りでちょっと使えないかな」と思っていたドラム音はアンサンブルの中ではわりと良い感じで、これはこれで使えるのではないかと思います。ただGM配列でないので他の音源との差し替えには注意が必要です。
エレキギターの音がわりと良い感じです。これまで使ってきたハード音源でまともなギター音がするものはなかったので「これはPCM音源の限界なんだろう」と思っていたのですが、平成元年製のPROTEUSがこのくらいの音を出せるのだとすると、Roland音源の問題だったのでしょうか。
気になるのは、同時発音数の限界に達していないと思われる状況でも時々音がドロップすること。予想としてはタイミングジャストでいろんな音が鳴る時にオーバーフローしているのではないかと。Roland音源であればモタることがありますが、E-MUの場合はドロップするのではないかと。これはまた機会があれば検証してみます。
もう一つ気になるのは、トラック数が増えてくるとかなりハイが上がって聞きづらくなってくる点です。これは僕がRolandの馴染む音色に慣れているからか、それともマルチティンバーで鳴らす際の内部MIXの問題なのかわかりません。僕の耳で感じるところでは(あくまで想像です)、この荒れた音色の感じからして国産音源よりもD/Aのローパスが弱いのではないか、つまりエリアシングノイズが乗っているのではないかと思います。で、エリアシングノイズの多い音同士を内部でアナログMIXしてるので高域が汚くなっているのではないかという予想です。各トラックを別録りしてDAWでMIXしてみたらまた印象が違うかもしれません。いずれにしてもGM音源のような用途の音源ではないのでそんなに問題はないでしょう。
駆け足でしたが、以上、2014年の未来人が1989年製音源をレビューするコーナーでした。


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