投稿者「TOMOKI++」のアーカイブ

複数DAW併用時のショートカットについて考える


DAWの併用あるいは乗り換えについて

このブログには何度か書いてると思いますが、僕はたくさんのDAWを併用しています。

基本的には、DAWは一つをしっかり使ったほうがいいです。DAWごとに機能や使い勝手が違ったり、付属のプラグインなども違うので、「他のDAWに変えたら新しい世界が開けるんじゃないか!?」と期待している人もいるかもしれませんが、そういうのは「隣の芝生が青く見える」だけで、実際には今使っているDAWを使い倒したほうが何倍も良いです。時間の効率、金銭的コスト、ストレス、さまざまな点で、DAWの併用や乗り換えはデメリットが多いです。

しかし、いろんな事情でDAWを併用することになった人もいるでしょう。この記事はそういう人をターゲットにした記事です。

複数のDAWを使う場合、ショートカットは統一すべきか?

ショートカットのカスタマイズ。これは僕が何度も思い悩んだテーマです。

今のところどうしているかというと、それぞれのデフォルトセッティングのままにし、「必要な機能なのにショートカットが割り当てられていない場合」のみ追加設定しています。なぜかというと面倒だからです。

DAWごとに細かい仕様が異なるため、同じショートカットにしたからといって同じ動きになるわけではありません。たとえば、アレンジウインドウのマウスホイールでのスクロール一つ取ってみても、仮に動きを統一したとしても、DAWによっとホイールがアレンジウインドウ上にあれば動く場合と、選択していないと動かない場合があったり、トラックの選択は変わるのか変わらないのかなど、細かい点に違いが出るため、使い勝手は同じにはならないのです。

他にも、DAWによってどこまでカスタマイズできるのかが違うため、自分が気に入った方に合わせるというよりは、カスタマイズ性の低い方に高い方を合わせるしかない、とか、基本的なショートカットだけ合わせたいのに、そのキーがすでに使われていたりして玉突きでいろいろ変えないといけなくなりドツボにはまる、とか、カスタマイズしすぎるとに他の環境の同じDAWが使いにくくなったりとか、いろんな罠があります。

そういうわけで、これまでショートカットは統一してこなかったんですが、しかし純粋に制作している間だけの作業効率の観点からいえば、統一した方がいいのは間違いありません。

今回、Cakewalk by Bandlab から Reaper にメインDAWを移行しようと考えているのですが、それに合わせて、ショートカットの統一に挑むことにしました。

どのショートカットを共通化するか

とはいえ、DAWごとに機能が異なるため、すべてのショートカットを統一するのは無理です。まずはどのDAWでも使う基本動作であり、かつ間違いなくカスタマイズできるであろう、以下の点について統一してみようと思います。

  • アレンジウインドウやMIDI編集ウインドウの上下左右のスクロールおよびズームに関するもの。
  • トランスポート関係。再生、ストップ(現在の位置)、ストップ(再生位置)、先頭に移動、最後に移動、早送り、巻き戻し、録音、など。

やってるうちに他にも統一したいものは出てくるかもしれませんが、最低限これだけはやっておこうと思っています。

なお、現在持っているPC/MacにインストールしてあるDAWは以下のとおりです。

  • Cakewalk by Bandlab 最終版
  • Samplitude 最新版
  • FL Studio 最新版
  • Reaper 最新版
  • Bitwig Studio 5.0.11
  • Digital Performer 9.52
  • Ability Pro 3.0.5.2
  • Ableton Live 9.7.7
  • Logic 最新版

なお、LogicのみMac、Bitwig と Reaper は Windows と Ubuntu、それ以外は Ubuntuです。

他に、Renoise も使っていますが、これはUIが独特でショートカットを統一することが原理上不可能なため、除外します。

各DAWのショートカット調査

※このセクションは今後随時編集していきます。

スクロール&ズームショートカット

●Samplitude

縦スクロール:MW, Shift+上下キー
横スクロール:Shift+MW, カーソルキー(ポインタ移動)
手のひらツール:

縦ズーム:Ctrl+MW
横ズーム:Shift+Ctrl+MW, Ctrl+左右キー, 上下キー
縦横同時ズーム:Ctrl+Alt+MW
横ズームアウト全体:Ctrl+Alt+Up

●Cakewalk

縦スクロール:MW
横スクロール:Ctrl+Shift+MW
手のひらツール:

縦ズーム:Ctrl+上下キー(MWなし?)
横ズーム:Alt+MW, Ctrl+左右キー
縦横同時ズーム:

●DP

縦スクロール:MW, PageUp/Down
横スクロール:Shift+MW, Win+左右キー
手のひらツール:

縦ズーム:Ctrl+上下キー
横ズーム:Ctrl+左右キー
縦横同時ズーム:Ctrl+[, Ctrl+] (違う?)

●Bitwig

縦スクロール:MW、上下キー(選択トラックも変わる)
横スクロール:Alt+MW
手のひらツール:

縦ズーム:なし?
横ズーム:Ctrl+MW
縦横同時ズーム:

●Ableton Live

縦スクロール:MW
横スクロール:Ctrl+MW
手のひらツール:

縦ズーム:
横ズーム:Shitf+プラスマイナス
縦横同時ズーム:

●ABILITY

縦スクロール:左ペインでMW
横スクロール:MW
手のひらツール:

縦ズーム:
横ズーム:Ctrl+MW
縦横同時ズーム:

●FL Studio

縦スクロール:MW, 上下キー
横スクロール:スクロールバーでMW, 左右キー
手のひらツール:MWドラッグ

縦ズーム:Alt+MW
横ズーム:Ctrl+MW, PageUp/Down
縦横同時ズーム:

●Reaper

縦スクロール:Ctrl+Alt+MW, 左ペインでMW
横スクロール:Alt+MW
手のひらツール:

縦ズーム:Ctrl+MW
横ズーム:MW
縦横同時ズーム:

トランスポート関係

※未調査

これに統一します!

※まだ決まってません。ここは随時更新します。


近況


みなさんご無沙汰しております。

現在子育て中のため、まとまった時間が取れず、ボカロPとしての活動を大幅縮小しています。そのため新曲の発表や動画の公開などはしばらく行わない予定です。

ですが、この間にも細々と時間ができることがあるので、それを利用して、制作環境の見直しを行っています。

これまでは以下のような制作環境でした。

  • メインDAW:Cakewalk by Bandlab
  • サブDAW:FL Studio
  • ミックス以降のDAW:Samplitude
  • 主なプラグイン:Sonnox Oxford、iZotope、Softube など

最近いろいろなDAWやプラグインを使ってみて、今後は以下のような環境で制作を行う予定です。

  • メインDAW:Reaper
  • サブDAW:Bitwig Studio
  • ミックス以降DAW:Samplitude
  • 主なプラグイン:TDR、Melda、Acon Digital、UADなど

メインDAWを変える理由は、Cakewalk by Bandlab が開発終了になったものの後継の Cakewalk Sonar の情報がなかなか出てこないことが主な理由です。サブの FL Studio については最近の開発傾向が「普通のDAWっぽくなってきている」ことによってかえって FL Studio らしさが失われ、使いにくくなっていると感じているため、使い続ける気持ちが遠のいてしまいました。

そこで、Cakewalk by Bandlab の代わりになるフルスペックのDAWとして Reaper を、FL Studio の代わりになる変態DAWとして Bitwig Studio を導入しました。

プラグインについては流動的で、これまで使っていたものも引き続き使っていくとは思いますが、Sonnox Oxford については徐々に利用頻度が下がっていったので、Limiter、Reverb、Supressor、Envolution については多少使用すると思いますが、それ以外は使わないかなーと思っています。iZotope についてもUIがどんどん使いにくくなってきてやりたいことが簡単にできないという不満がでててきたので、最近はあまり使っていません。今考えると、Ozone 5 + Alloy 2 あたりが一番使いやすかったです。

最近導入したのはネイティブ化された UAD や Plugin Alliance、Pulsar と行ったメーカーの実機エミュ系プラグインと、TDRの各種プラグインです。TDRについてはこれまでノーチェックだったのですが、かなり気に入りました。Meldaについてはこれまでも多少使っていましたが、使えるものと使えないものの選別がだいぶできてきたので、いくつかは使う予定です。リバーブについてはこれまでにも違うものをといろいろ試してきたのですが、結局 Sonnox Oxford Reverb に戻ってきてしまう、という状態でした。今回は Acon Digital Verberate と Valhalla Room、SSL Flexverb を導入しましたので、しばらくはこの3つの使い分けでやってみようと思っています。

この辺のレビューなどは随時このブログでもやっていきたいと思います。


新曲公開しました:【結月ゆかり×IA】加速主義で行こう! – accelerationist a go-go -【ボカロオリジナル曲】


本日、新曲を公開しました。

この曲は、ボカロ丼5周年記念コンピレーションアルバム『SWEET POP GENERATION』の収録曲です。今回はなんとアナログレコード版もリリースされているので、僕の楽曲では初めてのアナログレコード収録曲となります。(こちらでまだ購入可能です

曲のタイトルは歌詞の意味は、話せば長くなるのでまた機会があれば。


『夜に桔梗を』動画編集編


前回は、水彩画をスキャンしてデジタル化する手順について説明しました。

今回は、イラストを使って動画を作成していきます。

使用ソフト

今回動画編集に使用するのは、Vegas と AfterEffects です。

今回は19枚の動画の紙芝居に近いスタイルなのでギリギリ Vegas だけでも行けそうだったのですが、揺らすようなエフェクト(後述)を掛けたり、微妙な色の調整やズームの動き、3枚おろし(こちらも後述)などをやるにあたって、「字幕以外は AfterEffects でやった方がいい」という結論になりました。

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『夜に桔梗を』の動画用イラスト制作3(仕上げ編)


前回 はデジタルの線画をプリントアウトし、水彩絵の具での着彩を行いました。

今回はこれをスキャナで再デジタル化してから加筆修正を行います。デジタルとアナログを行ったり来たりするのは、むっちゃ手間なようで、意外と簡単に質感が得られておすすめです。

スキャンして再デジタル化

今回の原稿はA4なので自宅のスキャナGT-X900でスキャンしました。サイズが大きいときはコンビニのスキャナを使うこともあります。 自宅にあるスキャナは写真用のものでネガフィルムなどのスキャンを得意とするモデルですが、イラストも問題なく取り込めました。色味はsRGBの自動で問題なさそうでした。

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『夜に桔梗を』の動画用イラスト制作2(水彩画編)


前回はデジタル上で線画を描くところまで解説しました。

今回はいよいよ水彩画の作業に入ります。

今回は、「デジタルで描いた線画を水彩紙にプリントアウトして、水彩絵の具で着色する」という手法を取ります。初の試みなのでドキドキです。

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『夜に桔梗を』の動画用イラスト制作について(コンテ~線画編)


前回 は、曲作りの解説をしました。今回からは数回に分けて、動画の制作について解説していきます。今回は線画編です。

今回のイラストは水彩です。デジタルで水彩風にするか、実際に水彩絵の具で描くかは最後まで迷いましたが、最終的には水彩絵の具で描きました。

絵コンテ

まずは絵コンテを書きます。

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『夜に桔梗を』の曲作りについて


使用DAWについて

前回の記事はこちら

今回はDAWにCakewalk by Bandlab を使用しています。

以前はSONARを使用していましたが、前回作『未来はまだ明るかもしれない』からは後継のCakewalk by Bandlab をメインDAWとして使用しています。過去の全バージョンのSONARと比較しても、今のものが最も安定していて良いバージョンだと思います。

初期の曲作り

初期のデモの時点ではギターの弾き語りでコードとメロディを作り、それを簡単に打ち込みました。作詞をしてもらうためのガイドライン程度のデモなので、AddictiveDrumsでリズムを刻み、SampleTankのピアノでコードを、フルートでメロディを打ち込んだだけの1コーラスのものです。

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『夜に桔梗を』のメイキングを連載開始します!


これから、数回にわけて『夜に桔梗を』のメイキング記事を掲載します!まずはこの曲を作ることになったきっかけからお話しします。

『夜に桔梗を』の制作の元になったのは、2017年(もう4年前!)に衣泉さんと「なんか一緒に作ろう!」という話になったのがきっかけです。

その時点ではまだ具体的に何を作ろうという話でもなかったのですが、その年末に僕の方で歌詞のないデモ曲を作り、2018年の年明けに衣泉さんに聞いてもらったところ、歌詞をつけられそうだということになったので、お願いすることになりました。半年ほどして、衣泉さんの歌詞を見せてもらったところその時点で世界観などが完成していたのでそのまま採用することになりました。

この詞を見せていただいたときに、衣泉さんから「この詞のバックには物語がある(ただしテキスト化されていない)。その物語のあとの心境を歌ったのがこの歌詞だ」と聞いていたので、それを小説化すると同時にその小説のストーリーを追うような形でイラストを描いて動画にしたら良いのではないか?という話になり、衣泉さんはすぐに小説の執筆にとりかかりました。一方、僕の方では衣泉さんの歌詞をボカロで曲に入れていく作業を行っていったのですが、何度か聞いているうちに歌詞のイメージと曲のイメージがズレていることに気づき、衣泉さんの歌詞に合わせて曲の方を大胆に変えることにしました。この時点で元の曲とはかなり違う曲になっていきました。

衣泉さんの小説と曲の修正が終わったころ頃、動画についての打ち合わせを行い、予定通り小説のイラスト化を行って動画にすることに決定しました。その時点ではイラストを衣泉さんの知り合いの方にお願いする計画だったのですが、その計画が頓挫したため(2019年)、急遽僕がイラストを描くことになりました。

その後しばらくはコロナ禍で制作の余裕がなくなりイラストの制作は進んでいなかったのですが、2021年に入って制作を再開し、この度やっと完成することになりました。

(つづく)

次回は作曲関係のお話をします。

書きました→ 『夜に桔梗を』の曲作りについて

追記:動画公開しました。


新曲『夜に桔梗を』を10月15日に公開します!


大変長らくお待たせしました!

3年ぶりの新作動画『夜に桔梗を』を10月15日にニコニコ動画で公開します。
前回の記事で「作品番号14」と呼んでいたものです。

メインボーカルは結月ゆかり(穏)、コーラスでIAが参加しています。ゆかりを使うのは今回が初めてです。今後も何曲か「ゆかいあ」曲をリリース予定です。

作詞は今回初めてコラボする衣泉(いずみ)さんです。

実はこの作品は、衣泉さんの原作小説(未公開作品)が元になっています。正確には原作小説の後日談が歌詞となっており、それに曲を付けたものです。MVでは原作小説のエピソードを19枚の水彩画で描いています。つまり映像は過去編、歌詞は現在編という構成になっています。

10月15日に公開する理由は、niconicoで開催される『ボカコレ2021』 https://vocaloid-collection.jp/ のボカコレランキングTOP100 に参加するためです。公開の際はぜひ応援お願いします。

このブログでは、公開までに順次、曲や水彩画などのメイキング記事を掲載していきたいと思います。

追記:メイキング随時更新中です
https://tomoki.work/blog/category/メイキング/「夜に桔梗を」メイキング/

よろしくお願いいたします!

追記:公開しました!