前回はギターを重ねて音を厚くするテストを行ないました。全体的なアレンジと楽器編成はまとまりつつありますので、そろそろ決めないといけないことがあります。それは…
テンポ です。
え? 今からかえるの?? と思う方もいるかもしれませんが、いろんな楽器パートを入れていってフレーズが固まってくると、ちょっと遅いなー、とかちょっと速いなーとか気になってきます。しかし、ギターなどの生演奏を録音してしまうとテンポの変更は難しくなるので、ここで最終決定します。
BPM比較1回目
今のところこのプロジェクトは88bpmで作成しています。作業しながら「少しテンポが遅いなあ」と思っているので、上げる方向でいろいろ試してみます。今回は速度を上げるテストなので、88bpmで書き出した2MIXのWAVファイルを単純にストレッチして確認しています。ちなみに速度を落とす方向の場合にはストレッチで確認すると音がなまりやすいのであまりオススメできません。
では、元の88bpmから2bpmずつ上げながら聴いてみます。
88bpm (現時点のオリジナル)
90bpm
92bpm
94bpm
96bpm
どうでしょう? 元々巷のボカロ曲よりはゆったりした曲をコンセプトにしているので「96bpmでも十分遅い!」と思われる方もいるかもしれません。僕の場合は、ここで90bpmと92bpmの間がに答えがある! と思いました。
BPM比較2回目
そこで91bpmバージョンを作成し、90bpm、92bpmと比較してみました。
90bpm
91bpm
92bpm
すると91bpmは確かに悪くないんだけれども、でも90bpmの方が良いような気もします。
BPM比較3回目
そこで90.5bpmも作ってみました。ここまで細かいと違いはわからないんじゃないか?と思われがちですが、聴いてみると案外違うものですよ。
90bpm
90.5bpm
91bpm
これでスッキリしました。ちょっと変則ですが、最終的に90.5bpmでいくことにしました。
BPMについて(余談とお遊び)
BPMというのは1分間に4分音符が何回あるかを基準にした曲の速度の指標です。
ところで88bpmで作成したのにはわけがある、と最初の頃の記事に書いたのですが、そろそろそれについて説明する時が来たようです。88bpmで作成した理由は、まだアレンジが固まっていない初期段階で「もしかすると倍テンのアレンジをするかもしれない」と思ったからです。倍テンのアレンジというのは、2倍のテンポつまり88bpmの曲であれば176bpmのパート(あるいは小節)を作るというアレンジを加えることです。
実際にはDAW上のテンポチェンジで途中から176bpmになったりするのではなく、88bpmのプロジェクト上で、それまで4分音符だったものを8分音符に、8分音符だったものを16分音符に、16分音符だったものを32分音符にして偽装します。これによって、曲が突然駆け出しだような不思議な効果を生みます。で、その倍テン時のテンポとして176bpmが良いと思っていたので、逆算してその半分88bpmを採用したのです。
そして、結果的にそういうアレンジはやらないことにしたので、BPMの変更を決断したわけです。
歌モノの世界ではあまりBPMは重要視されていませんが、ダンスミュージック(いわゆるクラブ系など)の世界では、BPMでジャンルが確定すると言っても過言でないほど、BPMが重要な要素となります。その中でもわりとBPMが速い位置にあるのがドラムンベースで、これが元々レゲエのようなゆったりしたリズムの上に倍テンのブレイクビーツを乗せることで生まれたジャンルなので、倍テンアレンジをする場合には一番参考になるジャンルなのではないかと思います。このドラムンベースの一番おいしいテンポが176bpmだと僕は思っています。なので前述のようになったわけです。
では、せっかくですので、この「回るコミュニケーション」の88bpmの音素材を使って176bpmな曲を作ってみましょう。こちらはSONARから素材を書き出し、FL STUDIO 上で切り貼りしたり必要なパートを付け足したりして作成しました。
176bpm (アレンジver)
ね? 簡単でしょ?
他にもダブステップも同じように2種類のテンポが感じられるリズムなのですが、こちらは僕にはどちらかというと速いリズム(と言ってもドラムンベースほどではなく140bpm前後)がベースとなって、その中に半分のテンポ(70bpm前後)が混じってるように感じます。
というわけで、ちょっと脱線しましたが、BPMにはこういう可能性もありますよ、ってことで。
現在の進行状況
作詞:100%
作曲:90%
編曲:75%
動画:1%
次回はプロジェクトファイルの再作成について、です。
(2017/05/12追記)
完成動画はこちらになります!