「The Rhythm to Realize」略してTRTRの動画メイキング、前回はラフを描くところまでやりました。今回は水彩画の作業について書きます。水彩画でPV用のイラストを描くのは初めてなのでいろいろ試行錯誤しましたが、最終的には以下の様な手順で作業を行いました。
・ラフを元にデジタル上で線画を起こす。
・水彩紙サイズにプリントアウト
・トレス台で水彩紙に線画を鉛筆トレス
・パネルに水彩紙を水張り
・マスキング
・着彩
・切り出し
・スキャン
・デジタル補正
ラフを元にデジタル上で線画を起こす
この作業はCLIP STUDIO PAINT上で行いました。実際に使う線ではないので、トレス時に見やすいように太めに書きました。
水彩紙サイズにプリントアウト
水彩紙はホワイトワトソンの超特厚口300g4/6判四切(545×394mm)を半分(272×394mm)に切って使用しました。
水彩紙の選定は自由度がいろいろあるようで実はあまりないので、同じようなことをやりたい人ならこれがベストって結論になるんじゃないかなと思います。選定のポイントは「可能な限り純白に近いこと」「A3サイズに収まること」「凹凸がきつくないこと」です。いずれもスキャンの都合です。これに見合う紙の中でコストを考えると、まあホワイトワトソンになるのではないかと思います。ちなみにホワイトワトソンは水彩紙としては普及価格帯のものなのでそんなに上質なわけではありません。ただ白いという点ではかなり上位にくるのでデジタルとの相性は良いと思います。
この用紙より一回り小さいサイズに下描きをプリントアウトします。うちにあるプリンタはA4サイズなので、複数枚に分けて印刷し、テープでつなぎました。印刷するときにプリンタの余白も考慮し2cmくらい重なるように印刷します。このように一つの大きな原稿を複数枚のA4用紙に自動的に分割して印刷する機能はクリスタにはありません。僕の場合はこの作業はいつもCOREL DRAWでやります。もちろん自力で工夫すればクリスタでもできます。
トレス台で水彩紙に線画を鉛筆トレス
トレス台のランプを最強にして使っても、300gの水彩紙はあまり透けてくれません。部屋を暗くするなどしてがんばって鉛筆トレスします。この線は実際本番で見える線なので丁寧にやります。鉛筆はトンボMONO100のB、消しゴムもMONOを使っています。
パネルに水彩紙を水張り
今回はA3パネルに貼りましたので平張りです。やり方がわからない方は「水彩 水張り」でググってみてください。このサイズの水彩画だと水張りは必須です。300gの水彩紙で水張りが不要なのはF2サイズまでだと思います。四つ切の半分(つまり八つ切りなわけですがw)はこのようにA3をちょっと小さくしたサイズになるので、いろいろと無駄なく使えてとても便利です。パネルのままスキャンすることもできますし。
マスキング
僕はマスキングはフチにマスキングテープを貼るのみで、画面へのマスキングはやらない派なんですが、今回水溜まりなどハイライトが多い関係でマスキングインクも多少使用しました。マスキングインクに使用する筆は安価なナイロン筆です。
着彩
水張りが乾いたら、いよいよ着彩です。
筆についてですが、僕は水彩ではほとんど削用筆しか使いません。最初の下塗りだけ小型の刷毛を併用します。削用筆は日本画用の筆で、大きさとしては書道の小筆程度です。高いしそれほど寿命が長くないのですが、一本で面相筆のような細線から2cm程度の面まで塗れるのでとても便利です。ぱっと見似ている彩色筆の方がだいぶ安いのですが、こちらは細線が弾けないので面相筆などと併用する必要があります。いくつもの筆を使いたい人は気にせず好きな筆を使ったら良いかと思います。
絵の具はいろんなメーカーのいろんな色を試して数年前に作り上げた「俺様12色セット(2013年版)」というのがパレットに作ってあるので、それを使いました。不要な情報だと思いますが一応銘柄を書いておきます。
・ホルベイン/カドミウムイエローレモン
・ホルベイン/カドミウムイエローライト
・ターナー/パーマネントスカーレット
・W&N/アリザリンクリムゾン
・W&N/オペラローズ
・ターナー/ウルトラマリン
・W&N/ウインザーブルーグリーン
・ターナー/サップグリーン
・ターナー/イエローオーカー
・ターナー/バーントアンバー
・W&N/バーントシェンナ
・W&N/プルシャンブルー
着彩の様子は次回の記事に書きます。
切り出し
パネルのままスキャンしてもいいんですが、自宅にあるスキャナがA4サイズなので、コンビニのコピー機でスキャンするために水彩紙部分だけ切り出します。
スキャン
USBメモリと原稿を持ってローソンに行きます。印刷にはSDカードも使えるのですがスキャンの保存はUSBメモリ限定です。最大解像度の300dpiでスキャンしました(200dpiでも十分です)。
ちなみにコンビニスキャンは今回初めて使ったのですが、クオリティはまあまあ良いです。色もsRGBでかなり正確な色になりました。また自宅スキャナと違って凹凸がほとんど写り込まないので、180°回転させて2枚スキャンして「比較(明)」合成するようなテクニックは必要ありませんでした。ただ白を飛ばしてしまうので明るい側のグラデーションがあまり良くありません。設定で出来るだけ暗くスキャンするようにします。と言ってもほとんど調整できませんが。
デジタル補正
コントラストや色味などを調整します。今回は着彩の段階でかなり最終イメージに合わせながら描いたので、調整はほとんど必要ありませんでした。
ただ、着彩時に「ここはデジタル上で描こう」と思っていた部分があるので、そこだけは描き足しました。描き足しはCOREL Painterでやろうと思っていたんですが、試しにクリスタでやったら十分よい感じになったので最後までクリスタでやりました。
次回は着彩の過程を写真でお見せします。
完成動画はこちらです
【巡音ルカV4X】 The Rhythm to Realize 【ドラムンベース・オリジナル】
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